やっぱり大変な家探しPart2
- K (管理人)
- 2019年3月11日
- 読了時間: 6分
Part1の続きです。
アパートの入居を断られた後、3件の見学を取り付けた私は、まず後日に2軒のお家を見に行きました。
学校の授業は午前中だけ出て先生に事情を説明して13時には駅に向かっておりました。
1件目は、RER線を乗り継ぐパリの郊外へ。お家のオーナーさんや家族はとても温かな人でお家もとても綺麗でした。
プライバシーもあるので細かいことは書けませんが、お家や人間関係、値段については全く申し分無く、
寧ろ好条件でしたが、私は選びませんでした。理由はただ一つ、治安の心配です。
RER線を乗り継いででないとパリ市内に行けないということで、まだまだパリの各地域の雰囲気を把握していない私は、
夜の帰宅時が不安でした。もちろん、普通に住まれている方もいますし私の心配性が拍車を掛けているだけかもしれませんが、長く住むとなると最初から不安があってはうまくいかないと思いましたので、お断りする事にしました。

そして、その夜は再度申し込みをしたフランス人大家の持つお家へ見学に行きました。
駅で待ち合わせをして彼の後をついて行くと大きなアパートにたどり着きました。
部屋はエレベーターを使うので、上の方にあり、写真で見るより内装は素敵で広く、
バスルームも清潔感がありキッチンも一通りの食器類が揃っていて、パリのお家を見れてラッキー!と思っていました。
が、バルコニーへの窓を開けた瞬間に恋に落ちてしまいました。
夕陽をバックに煌めくエッフェル塔がなんとも言えない美しさを纏っているのです。

入居可能日は1ヶ月先という事でしたが、
この値段で、毎日この景色を見られるのなら待ちますと告げました。
あっという間に素敵な物件にありつけたのですから、人生何がどうなるのか分かりません。
もっとも、昔のアメリカのドラマ “フレンズ”で外国人とシェアルームに一度住んでみたいと思っていたので
流れに流れて、幸運にもその機会を掴めたのが不思議でなりませんが、
素敵な巡り合わせに感謝します。
ここの大家さんは、紙面でルールを作っていたり電気料金の紙も用意してくれていたりと
今のところは信頼しています。
私は、所謂“コロカシオン”と呼ばれるルームシェアで、フランス人の女の子の学生と大家さんと暮らしております。
一人一人の部屋はありますが、サロン、台所、お風呂場、トイレは共用です。部屋に鍵はありません。
また、電気料金や水道、WIFIなんかも家賃に含まれています。
その内容を友達(国籍問わず)に話すと、「大丈夫なの?気を付けなね!」とよく言われます。
みんなが心配しているのは、大家さんが60代の男性だからです。
自分のフォローのためにもここで言っておきますが、
もちろん男性とルームシェアなど当たり前ですが抵抗あります。
ゲストハウスですら、共用ドミトリーは避けています。(訳あって使わざるを得ない場合を除いては)
仮にも、今の大家さんが20〜40代の独身男性だったら、いくら良い部屋であってもお断りをしています。
しかしながら、私が彼に対して特に不安を抱かなかったのは、
恐らく、彼が娘さんを愛しているのと大きな劇場の支配人である事、そしてちょうど良い距離感が自分のペースにあったからだと思います。
私は、20歳の時に一度、同じく60代のフランス人夫婦の家にホームステイをしたことがあります。
そこのお母さんとお父さんが大変よくしてくれたので(フランスに来た今でもスカイプで連絡を取り合っているほどです。)
大きな抵抗がなかったのもあると思います。
コロカシオンは、家賃を抑えながらも市内に住めたり、必要な道具が揃っていたり,
家に誰かいる安心感があるなど共同生活に慣れている人にはオススメです。
また、ある知人は、電気が止まった時に一人でどうにするのは大変だから大家さんが一緒に住んでいるのは羨ましいと言っていました。
確かに、流暢に言葉が通じない場所でそうしたありうるトラブルに対応するのはひどくストレスがかかりそうだなと思いました。もう少し安い物件もあったのですが、洗濯機が無かったり、インターネットを自分で業者に頼まないといけなかったり、駅からあまりにも遠かったりと総じて見るとここを選んでよかったなと今は思っています。
逆に、同居人と合わないとやはりストレスでしかないと思います。
私は、この物件に入る前に、語学学校で友達になった方が1週間泊めてくれたのですが、
彼女もまた同じくシェアルームに住んでいたので、そこの大家さんとうまくいきませんでした。
Part1で強調した通り、“慣れ”による失敗もあったのですが、
ホームステイをしたり海外での民泊経験が何度かあった私は、共同生活でうまくやっていく自信がありました。
ただ、そこの大家さんは、日本人に慣れていた為、私の振る舞いがそのイメージから悪い意味で大きく外れたようでした。
ステレオタイプの日本人を好んでいた為、過剰なリアクションが無かったり何度もありがとうを口にしなかったりと
とても無礼な奴だと言われ、突然出ていけと言われてしまいました。
宿泊料を払っていたわけでもないし、入り浸るわけにも行かなかったので出て行きましたが、
ショックというかあまり思い出したくないほろ苦い思い出になってしまいました。
その夜泊まったゲストハウスでは、沢山の宿泊客の方に「大変だったね。」と慰めの言葉をもらいましたが、
正直、その後2週間くらいは人間不信になりました。
最初の大家に直前でキャンセルされ、1週間過ごした場所では追い出されと、自分は人に嫌われる人間なんだとかなりの自信を失いました。
綺麗な表現をすれば、捨てられた子犬のようにとにかく怯えていました。

と話がまとまらなくなってしまうので、戻しますが、
つまり、自分がいくら他人を寛大に見ようとしていても、相手が自分を受け入れない事もあるので、
同居人の行動がいちいち気になって仕方のない方には、“コロカシオン”はオススメしません。
また、注意したり声をかけてもうまくいかない同居人と住んでいる人は、大きなストレスが爆発する前に引っ越した方がよいと思います。
自宅は居心地の良い場所であってほしいです。
そんなこんなで、家を失う日が来るなんて思ってはいなかったものの
今となっては、この素敵な眺めのお家に住む為の試練だったのだと解釈しています。
フランスで、住所がないと図書館も使えないし銀行口座も開けないし住居者用のNAVIGOも作れない事を思い知らされました。
また、机があるから勉強ができる事やベッドで落ち着ける事、冷蔵庫があるから、バターやハムなどを買って少しずつ食べられる事など、
幸いにも今まで悩んだ事のなかった“当たり前”のことがそうでないと不便極まりないのだと感じました。
望んでなった状況でないだけに、誰かにこんな状況になる事を絶対に進めたくはありません。
フランスに来てから家を探そうと思っている方は、
1ヶ月の短期物件を日本にいる間に契約して、その1ヶ月の間に探す方法をとる事をオススメします。
また、値段が良くても、口約束しかしない大家のいる物件との契約はリスクがつきものだと思ってください。

多くの人が気の合う素敵な同居人とフランス生活を送れる事を願っております。
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